| 一人親方豆知識 |

建設業界での独立を夢見る方々へ。福島県で10年間、一人親方として歩んできた道のりをお伝えします。東日本大震災からの復興需要、その後の変動する建設市場、そして新型コロナウイルスの影響まで。地方都市で独立した建設業者が直面する現実と、それでも生き残るために培ってきたノウハウを包み隠さずお話しします。月収が50万円を超える月もあれば、仕事がなく15万円に満たない月もある厳しい現実。しかし、10年間の経験から見えてきた安定経営の秘訣と、今から独立を考えている方々が絶対に知っておくべきポイントをご紹介します。福島の地で培った現場の知恵と人脈づくりの極意は、全国どこでも応用できるはず。独立を考えている建設業の方も、すでに一人親方として奮闘している方も、この記事があなたのキャリアの道標になれば幸いです。
福島県いわき市で一人親方として建設業を営む佐藤さん(仮名・45歳)は、独立から10年が経過した今、ようやく安定した経営基盤を築いたと語る。「最初の3年間は文字通り『寝る間も惜しんで』働きました。月の収入が30万円を下回る月もあれば、突然120万円を超える月もあり、その波に振り回されていました」。収入の不安定さは多くの一人親方が直面する最大の課題だ。
独立前は大手ゼネコンの下請け企業で働いていた佐藤さんだが、「自分のペースで仕事がしたい」という思いから一人親方の道を選んだ。しかし現実は厳しく、営業、施工、経理、確定申告まですべて自分でこなす必要があった。
「安定するまでの道のりで学んだ最大のコツは、特定の分野に特化することです」と佐藤さん。一般的な大工仕事から始めたが、徐々に古民家のリノベーションに特化し、独自の技術と知識を磨いた結果、今では指名で仕事が入るようになったという。
また、収入の安定化には「年間を通じた仕事の平準化」が欠かせないと強調する。「夏場は外装工事、冬場は内装工事というように季節ごとの仕事の偏りを減らす工夫をしています。また、定期的なメンテナンス契約を結ぶことで、安定収入の基盤を作りました」
税金対策も一人親方にとって重要な課題だ。「最初の数年間は経費の管理が甘く、確定申告の時期になって慌てることも多かった」と振り返る佐藤さん。今では専門の税理士と契約し、帳簿の管理や節税対策をしっかり行っているという。
「独立して本当に良かったと思えるのは、やはり自分の判断で仕事を選べる自由さです。お客様から直接『ありがとう』と言われる喜びは何物にも代えがたい」と佐藤さんは語る。一方で「常に次の仕事を確保する不安とは今でも付き合っている」とも。
福島の建設業界では震災復興関連の需要が一段落した今、新たな局面を迎えている。「エネルギー効率の高いリフォーム需要が増えています。時代のニーズを敏感に察知し、常に学び続けることが一人親方の生き残り戦略です」と佐藤さんは力強く語った。
建設業界での独立は夢でもあり挑戦でもあります。特に福島のような地方都市で一人親方として10年生き残るには、単なる技術だけでなく経営者としての視点も必要です。これから独立を考えている職人さんに、開業前に知っておくべき5つの重要なポイントをお伝えします。
1. 地域特性を徹底研究する
福島県は会津、中通り、浜通りと地域によって気候や文化が大きく異なります。独立前に自分が活動する地域の建築様式や需要を把握しておくことが不可欠です。例えば、会津地方では豪雪対策の技術が重宝され、浜通りでは震災後の復興関連の需要が継続しています。地域の特性を活かした専門性を持つことで、競合との差別化が可能になります。
2. 資金計画は3年先まで立てる
独立直後は仕事の波が激しいものです。最初の1年は黒字でも2年目に資金ショートする例は少なくありません。工具や車両の購入、保険料、確定申告の納税資金など、少なくとも3年分の資金計画を立てておきましょう。福島県産業振興センターでは創業者向けの融資相談も行っているので、活用することをお勧めします。
3. 専門分野と関連技術を両立させる
「左官一筋」「大工専門」という強みを持ちつつも、関連する技術も身につけておくことが長く生き残るコツです。例えば、左官なら簡単な防水工事も、大工なら基礎的な電気工事も対応できると、小規模な現場を一人で完結できます。福島県建設技能者訓練協会などで関連技術の講習を受けることも検討してみてください。
4. 信頼できる仲間のネットワークを築く
一人親方でも、すべての工事を一人でこなすことはできません。電気、水道、外構など、信頼できる他職種の職人とのネットワークを構築しておくことで、より大きな仕事も受注可能になります。福島県内の職人組合や建設業協会の集まりに積極的に参加し、人脈を広げることを忘れないでください。
5. デジタルツールを活用する
今や施主との連絡や見積書の作成、納品書の管理などはデジタル化が当たり前になっています。基本的なパソコンスキルやクラウド会計ソフトの使い方を独立前に習得しておくと、業務効率が格段に上がります。福島市や郡山市などで開催されるIT活用セミナーに参加するのも一つの方法です。
これらのポイントを押さえて準備を進めれば、独立後の苦労を大幅に軽減できるでしょう。単に腕が良いだけでなく、経営者としての視点を持つことが、福島の地で長く愛される一人親方になる秘訣です。技術を磨きながらも、ビジネスとしての建設業を学び続ける姿勢が、10年先も生き残るために何よりも大切なのです。
「最初の2年間は本当に食べていくのがやっとでした」。福島市で電気工事の一人親方として活動する佐藤さん(仮名・45歳)は振り返る。福島県内で10年間独立して働いてきた彼の言葉には重みがある。
独立して仕事を獲得する極意として、佐藤さんが最も重視しているのは「人間関係の構築」だ。「技術は当たり前。それ以上に、約束を守り、誠実に対応することが信頼につながります」と語る。彼の顧客の8割はリピーターか紹介という事実が、その言葉を裏付けている。
「最初は価格競争に巻き込まれがちでした。安請け合いして赤字になったこともあります」と失敗談を明かす。今では見積もり時に細かく項目を分け、追加工事が発生した場合の対応についても事前に説明するようにしている。
地元の建設業者とのネットワーク構築も仕事獲得の要だ。「互いに融通を利かせて仕事を回し合える関係が重要です。福島の場合、特に雪の多い冬場は電気工事が減るので、他の職種の仕事も請け負えるようにしています」と多能工化の重要性を強調する。
失敗から学んだ教訓として「支払いサイトの確認」を挙げる。「大手からの下請け工事で、支払いが4ヶ月後と知らずに資金ショートしそうになりました」。今では契約前に支払条件をしっかり確認し、場合によっては前払いを交渉する。
SNSの活用も仕事獲得に一役買っている。「施工事例をInstagramに投稿したところ、若い世代のお客様から直接依頼が来るようになりました」と話す佐藤さん。ただし「写真の掲載許可をもらうなど、プライバシーには最大限配慮しています」と注意点も付け加えた。
東日本大震災後の復興需要が一段落した今、新たな戦略として省エネ関連の技術習得に力を入れている。「太陽光発電や蓄電池の設置工事のニーズが高まっています。新しい技術を学び続けることが生き残りのカギです」と未来を見据える。
「一人親方は自由である分、すべての責任を自分で負います。何度も辞めたくなったけれど、お客様からの『ありがとう』が支えになりました」。佐藤さんの言葉には、独立の厳しさと充実感が共存している。

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名称
北日本労災一人親方部会
理事長
中村 翔
認可
厚生労働大臣青森労働局承認
厚生労働大臣福島労働局承認
加入員資格
北海道・青森県・岩手県・秋田県・福島県・山形県・新潟県・宮城県にお住まいの建設工事に従事する一人親方とその家族従事者
所在地
〒038-3163 青森県つがる市木造字中館湯浅44
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